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世界債ファンドの検討

私は自己のポートフォリオにおいて、債券への投資は当面セゾン・バンガード・グローバルバランスファンドに集中するつもりであると、過去に記事で述べました。

しかし、ポートフォリオのリバランス(価格変動などの事情で、各資産構成割合のバランスが崩れた場合の調整)などにおいて、活用する可能性はあるとも考えています。

そのため世界債に連動するインデックスファンドも、一応検討することに致しました(なお昨今、楽天証券にて債券ETFの取り扱いが始まった事が話題になっていますが、私は自己の資金力の都合や、アメリカに傾斜することが好ましく思えないことから、当面は日本の投信会社が設定している投資信託を活用することになりそうです)。アクティブでなくインデックスファンドを選んだ理由は、日本・世界株ファンドを選んだときと同様、主に「コスト」面の事情です。

さて現在、私が保有しているないしは開設手続き中の証券会社・銀行で取り扱われている世界債券のインデックスファンドの一覧を上げると、以下のようになりました(なお世界株ファンドの時と同じ理由で、為替ヘッジ付のものは外しています)。

  • 中央三井海外債券インデックスファンド (フィデリティ証券)
  • 年金積立インデックスファンド海外債券 (投信SC、マネックス証券)
  • PRU海外債券マーケット・パフォーマー (投信SC、イーバンク銀行)

このうち年金積立・PRUは販売手数料なし(ノーロード)で、中央三井には2.1%の販売手数料がかかります(なおここには上げていませんが、ソニー銀行では1.05%で購入できます)が、2007年8月まではフィデリティ証券のキャンペーンにてこれも実質ノーロードで購入できるようなので、将来のことはともかくとして、とりあえず現状では販売手数料のことは勘案しないことにしました。

すると比較すべきは、信託報酬など保有時にかかるコストです。まず信託報酬ですが、PRUは0.6825%、年金積立は0.71085%、中央三井は0.735%となり、これを見ただけではPRUが有利に見えます。

しかし世界株ファンドの検討 3で述べたように、委託手数料、有価証券取引税、保管管理料などといった他にかかる保有コストを含めた「実質コスト」で見ないと、これら投信の正しい比較は出来ません。しかし年毎に変わるこれらの調査はなかなか困難なので、世界株のときと同様、長期のリターンを比較して見ることにしました。

  • 中央三井海外債券インデックスファンド 1年 13.6% 3年 28.7% 5年 52.0%
  • 年金積立インデックスファンド海外債券 1年 13.5% 3年 28.5% 5年 51.8%
  • PRU海外債券マーケット・パフォーマー 1年 13.2% 3年 28.6% 5年 52.2%
  • こうして見ると、見た目の信託報酬の格差(といっても最大年0.0525%ですが)はほとんど意味がない事がわかります(一番それが高いはずの中央三井のリターンが、他と遜色ないため)。

    とりあえず私は、最終的に至便性(長期的に販売手数料なしで購入し続けられる可能性や、資金移動のし易さなど)を考慮して、PRUをイーバンク銀行で、ないしは年金積立をマネックス証券で購入することにしました。これには投信SCに対する懸念を、世界株式のみに限定して行こうという趣旨も込められています。

    しかしリターン比較を見ても分かるとおり、これは決して最善策ではないと感じてもいます(高額での積立ならば、フィデリティ証券もずっとノーロードとなるため)。最後にはある程度の妥協が必要ではないか、と思い知らされました。

    なお、相互リンクさせていただいている以下の皆様のブログでも、最近の事情を反映した同趣旨の記事がありますので、そちらもご参照ください。

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    コメント

    楽天証券の債券ETFは、アメリカに傾斜していることと、過去のリターンが2%~6%程度と低めなので、私も今回の債券ETFは当面見送ることとしました。

    3種類も海外債券インデックスファンドの比較は大変参考になりました。
    過去のリターンを見る限りは、大きな差がなさそうなので、より安く、より便利に購入できるファンドを選択するというのでも良いかもしれませんね。

    確か、信託留保金の差はなかったですよね。

    投稿: エル | 2007年6月16日 (土) 23時38分

    エルさん、コメント有難うございます。

    信託財産留保額については年金積立が「0.2%」と、PRUや中央三井の「0.1%」の倍あるようです。

    私は保有期間のことをかんがみ、余り大きなこととは考えませんでしたが、短期保有なら考慮した方が良いかもしれません。なお、セゾンは「0.1%」です。

    投稿: 新幹線 | 2007年6月17日 (日) 06時46分

    信託報酬だけでなく過去のリターンを考慮するという考え方に納得です。
    ところで日本の株式の場合、ETFの方がインデックス型ファンドより信託報酬が安いためリレー投資が望ましいとされておりますが、価格.comで3年のリターンを比較すると、TOPIX連動型上場投資信託(57.76%)より富士TOPIXオープン(58.34%)やニッセイTOPIXオープン(58.98%)の方がいいです。
    分配金を出すか出さないかが関係しているのでしょうか?
    わざわざリレー投資しなくてもいいかなと考えてしまいます。

    投稿: マック | 2007年6月24日 (日) 13時24分

    マックさん、コメント有難うございます。

    確かに分配金の影響もあるかもしれませんね。出た配当分は、出来れば投信購入に組み込んでいってリレー投資をしたほうが良いかもしれません。

    投稿: 新幹線 | 2007年6月24日 (日) 19時07分

    トラッキングエラーは無視ですか?ETFは、毎年 1% 程度の分配金が出ていますが、それを考慮していない結果なのではないのではないでしょうか?

    妙味としてベンチマークとして「配当込みTOPIX」に連動する投資信託なんかどうでしょうかね。配当込みなので通常の TOPIX より確実に上回る結果になります。でも得てして連動しきれていないんですよねぇ。やっぱり株の配当金で上手いこと連動させている証拠なのでしょう =)。

    今後、配当金が増える傾向になる可能性があるのでその面でも ETF 有利だと思うんですがね。

    投稿: Mc.N | 2007年6月26日 (火) 00時29分

    Mc.Nさん
    >でも得てして連動しきれていないんですよねぇ。
    >やっぱり株の配当金で上手いこと連動させている証拠なのでしょう

    トラッキングエラーといっても、その中身は運用上の理由によるものとコストによる不可避的なものがあります。
    ETFでは配当金以外からの現金の流入は皆無なので、分配されるのは配当金収入から信託報酬などの経費を引いたものです。
    分配前にコスト分を差し引いているからコストによるトラッキングエラーが小さくなるわけで、無分配だとそういう形での調整はできないからどうしても乖離しやすくなります。

    >今後、配当金が増える傾向になる可能性があるので
    >その面でも ETF 有利だと思うんですがね。

    私は逆だと思います。
    ETFで分配金再投資した場合のリターンは有利になりますが、これは分配金にかかる税金を考慮していません。
    もしも配当金が増えると分配額も増えてその分税金を多く払うことになります。
    そうなれば「TOPIX連動無分配型」とETFのコスト差は変化せず分配によって払う税金は増えるので、配当が増えれば税金を含めたコスト差は小さくなるか逆転して「TPOIX連動無分配型」の方が有利になってくるはずです。

    税金のことを無視した場合でも、私には配当が増えることでETFが有利になる理由が思い当たらないのですが、なにか見落としているのでしょうか?

    投稿: アルビレオ | 2007年6月26日 (火) 04時35分

    ちょっと資料が集まらない状況なのですが、特にTOPIX の場合は完全型は少ないですし、解約に備えてフルインベストメントではないし、先物による調整を入れたりで日々帳尻を合わせているのではないかと。日々調整が上手く行っていないインデックス型の場合、インデックスに連動するため仕方なく分配金を出しているように運用報告書から読めました。
    http://www.toushin.com/interview/int65.htm
    http://www.am.mufg.jp/fund/top/925145.html

    そもそもTOPIXって配当金を考慮しないベンチマークなので、分配金の分だけプラス目に働くわけですよね。ETFの場合、追加型投資信託特有のコストや調整が必要が無い分、素直に株で得られる分配金を配当金として捻出出来るので配当金はETFにとって有利に働くのではないかと考えています。

    どうでしょうか?

    投稿: Mc.N | 2007年6月26日 (火) 07時10分

    社団法人投資信託協会で配当金込みのリターンを調べました。
    ニッセイTOPIXオープン
    1年:15.05、3年:18.43、5年:16.37
    野村のETF
    1年:14.92、3年:18.00、5年:15.99
    ETFの配当金をそのまま現金でおいてしまうと、ETFより配当金のない投資信託の方が有利になってしまうようです。
    ETFの配当金をすぐにニッセイTOPIXオープンで運用した場合はやはりETFの方が有利になるのでしょうか?

    投稿: マック | 2007年6月26日 (火) 22時13分

    日付、何時にしました?

    購入日を07.06.25にして検索してみた所、 5年前リターンがニッセイが17.58%、1306.tが17.19%となりました。後もう2週間くらい後だと 1306.t の分配日なので +1% 位、跳ね上がるのですがそれは置いといて =)。

    ニッセイは分配金を出していないようなので単純に比較してみました。青がニッセイ、緑がTOPIX、赤が 1306.t です。
    http://quote.yahoo.co.jp/q?d=c&c=1306.t&k=c3&t=5y&s=29311014&l=on&a=&p=&z=m&q=l&y=on

    このグラフを見る限り、1306.t の方が TOPIX に連動しているように見えます。連動に拘るなら ETF の方が優れているように感じます。連動に拘らないのならもっと杜撰(?)なインデックスファンドがあったように記憶しています。

    >> ETFの配当金をすぐにニッセイTOPIXオープンで運用した場合はやはりETFの方が有利になるのでしょうか?

    運用益に対して税金を支払うことになるので、まず間違いなく不利でしょう。ちなみにニッセイはインデックスには珍しく信託財産留保額が必要です。念のため。

    投稿: Mc.N | 2007年6月26日 (火) 23時09分

    Mc.Nさん
    最後の一文を除けば私もその通りだと思います。
    問題はそういったコスト要因が配当金が増えることによって変化するかどうかで、私は無視できるほど小さな違いにしかならないと思います。

    仮に信託報酬やその他のコスト(先物購入やフルインベストメントできないことによる目減りなど)も含めた総コストがETFは0.5%、インデックス投信が1.0%とします。
    純資産額に対する配当利回りが1%増えると、増加するコストはETFが0.005%、インデックス投信は0.01%でその差は0.005%になり、分配金にかかる税金の増分(1%×10%=0.1%)に比べるとかなり小さなものです。
    分配金が増えることで対純資産額比でコストの割合が増える要因は私には特に思いつきません。

    実際には無分配だと課税を先延ばししているだけで解約時にはその分余計に税金がかかりますが、株式からの受け取り配当が増えるほど課税繰り延べ効果は大きくなるので、無分配型ファンドはETFよりも有利になると思います。

    投稿: アルビレオ | 2007年6月27日 (水) 03時32分

    2002年6月26日から2007年6月26日で調べました。
    投資額1万円の結果です。

    ETF 1306
    所有期間損益8098、分配金累計503.25、合計8602
    1年15.00、3年17.49、5年17.19

    ニッセイTOPIXオープン
    所有期間損益8800、分配金累計0、合計8800
    1年15.13、3年17.91、5年17.58

    富士TOPIXオープン
    所有期間損益8410、分配金累計81.61、合計8491
    1年14.96、3年17.64、5年16.97

    トピックスオープン
    所有期間損益8425、分配金累計0、合計8425
    1年14.6、3年17.19、5年16.84

    インデックスファンドTSP
    所有期間損益7891、分配金累計456.98、合計8348
    1年14.69、3年17.15、5年16.68

    ETFより高リターンなのはニッセイTOPIXだけのようです。たまたまこの5年間の運用が良かったのでしょうか?
    ニッセイTOPIXだけは信託財産留保額0.3%がかかるので、やはり避けた方が無難でしょうね。

    投稿: マック | 2007年6月27日 (水) 15時16分

    >マックさん
    この手の答えを得たいのなら運用報告書を読まないと駄目ですよ。

    「ニッセイTOPIXオープン」はTOPIXに連動することを目的としているようですが「ニッセイTOPIXオープン」の母体のマザーファンドは配当込みTOPIXをベンチマークとして使用しているようです。配当込みTOPIXには概ね連動しているようです(それでも他のファンドより成績は良いようですが)。

    あまり先物による調整を積極的に活用していない所を見ると、強制的に指数に連動させる気が希薄なのではないのかと。解約が大量に行われた時等の対応が気になる所です。

    投稿: Mc.N | 2007年6月27日 (水) 22時21分

    Mc.Nさん
    返信していただきありがとうございます。
    つい最近投資を始めたばかりで運用報告書までは読んでいませんでした。
    TOPIX連動型投資信託の中には、配当込みTOPIXに連動しているものがあるのですね。
    自分はリターン重視なので配当込みTOPIXに連動している投資信託の方がいいです。

    アルビレオさん
    将来税率が20%となりETFの配当利回りが2%になると、税コストは0.4%/年となりETFとニッセイTOPIXオープンとの信託報酬の差がほとんどなくなってしまうということですよね。
    最近は株の配当金を増やす傾向にあるようですが、ETFへのリレー投資のメリットが薄れてしまい悩ましいですね。

    投稿: マック | 2007年6月28日 (木) 00時06分

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